8月末、新聞の一面に書かれた『妊婦血液でダウン症診断』という記事。ご覧になられた方はどんなことを思いましたか?今までの出生前診断は、妊婦さんのお腹に針を刺して行う羊水検査が確実なものでしたが、200人に1人の割合で流産の危険もありました。それが、血液検査で安全で簡単に、赤ちゃんがダウン症かどうか高い確率でわかってしまうというのです。

この診断は、それぞれの立場によって考え方も違うと思います。不妊治療をしてやっと赤ちゃんが出来た方、高齢出産の方、実際に障がいのあるお子さんをお持ちの方。色々な考えがあると思いますが、この診断をするかしないかで悩む方の気持ちを思うと、本当に本当に胸が痛みます。私自身、大士を産んで告知を受けた時はショックだったし、将来を考えると不安でたまりませんでした。もう子どもを産むことはこわくて出来ないとも思いました。

今私たちに出来ることとは

あれから4年半。大士を育ててきた中で今まであったダウン症への偏見がなくなり、今の私が思うことは、障がいのある赤ちゃんを産んでも生きていける社会であってほしいということ。もし、保育園でも学校でも、当たり前のように障がい児と健常児が同じクラスで楽しく生活していたら…。もし、ダウン症の人がガソリンスタンドで働いていたら、車いすの人がレジを打っていたら、自閉症の人がスーパーで品出しをしていたら…。私たちの日常生活の中で、こんな風に障がいのある人が当たり前のように社会の一員として生活し、私たち健常者もそれを当たり前のように支えられる社会だったら、大士を産んで間もない4年半前の私も、将来を思い不安になることもなかったと思います。

障がいのある赤ちゃんを産むか産まないかではなく、障がいのある赤ちゃんを産んでも、みんなで支えあい生きていける社会。重く難しいテーマになってしまいましたが、このコラムを読んでいる皆さんにも考えて頂ければと思います。