突然ですが『あって当たり前』と思っていたものがないと分かった時、人は相当なショックを受けます。

私があって当たり前、持って産まれてくるのが当たり前だと思っていたもの。それは『歯』です。

実は我が家の大士には、下の前歯が4本ありません。産まれつきないんです。

ダウン症の子は成長がゆっくりということはこのコラムでも触れてきましたが、歯の成長についても同じことが言えます。健常児よりも歯が出てくるのは遅れることが多く、また体の筋力が弱いように口元の筋肉も弱いので上手くご飯が食べれなかったり、言葉をはっきり発音できなかったり、虫歯になりやすかったりと、色々な問題があります。

こういったこともあり、大士は1才になる前から専門の先生のところに通い、歯の定期検査と、成長に合わせた食事(食べ物の硬さや形状)の指導や、食べさせ方の指導などを受けているのですが、その時にある事実を知ることになりました。


ないとわかったその時…


なかなか生えてこなかった大士の歯。はじめて1本目が出てきたのは1才頃でした。それから徐々に歯も増えこのまま生えそろうものだと思っていました。ところが…2才になっても3才になっても下の歯が生えてこない。レントゲンを撮り検査した結果、大士の歯は乳歯も永久歯もないことが判明しました。まさか、まさかの検査結果。将来的には入れ歯やインプラントもあると言われましたが、なかなか前向きな気持ちになれなかった。

でも本人はそんなことを気にすることなく、下の前歯はないけどないならないなりに他の歯を使って上手にご飯を食べるんです。

こんなに幸せそうにご飯を食べているのに、いつまでも私がクヨクヨしていられない。大切なのは事実を受け止めその現実とどう向き合っていくか。ダウン症の告知を受けた時と同じように、大士の姿に元気をいっぱいもらいました。