もともとこのサクラサクライフの編集部員だった私がダウン症の子を持つ親の立場から『障がい児のことを分かってほしい』ではなく『知ってほしい、身近に感じてほしい』という思いでスタートしたこのコラムも5年目に突入。この5年という年月は私の人生を大きく変えるものでした。

 私と主人のもとに1000分の1の確率で大士が産まれ、その3年後にはしっかり者のはーちゃんが加わった私たち家族。そしてこの春、さらにもう1人家族が増え、大土は2人の妹のお兄ちゃんになりました。

 妊娠がわかったのは昨年の夏。私は盲腸になった時に初めて自分が妊娠していることに気づきました。幸いにも妊娠初期ということで麻酔を使って手術をすることができたのですが、その後はつわりなど体調不良の日が続き、妊娠後期に入ると切迫早産しそうになり絶対安静の入院生活を送ることになってしまいました。

 この間に新聞やニュースで取り上げられていたのが、以前コラムでも触れた血液検査で今までより簡単に出来るようになった出生前診断の話題。ちょうど妊娠が分かった時にこのニュースが注目され、出産した時にいくつかの病院で実際にスタートされました。

 ダウン症の赤ちゃんを産んだ母親としての自分と、今お腹にいる赤ちゃんの母親としての自分。今回私はこの検査はしませんでしたが、複雑な思いでニュースを見ていました。

 誰もがお腹にいる赤ちゃんは健康で何事もなく産まれてきてほしいと願っていると思います。私も大土を産むまでは元気に産まれてくるのが当り前のことだと思っていました。

 でも『当り前』なんて考え、間違っていました。

 元気に産まれてくるのは奇跡的なことだし、お腹に新しい命を宿すことも、またその命をお腹の中で育てていくことも本当に奇跡的なこと。障がいがあろうとなかろうと、この世に存在しなかったひとつの命を誕生させる尊さとその重さを、3人の出産と今回の妊娠生活を通して改めて実感しました。日常生活の中にいると忘れがちなことですが…我が家の3兄妹、産まれてきてくれてありがとう。